「人を先にする心」ですねんけど、これは落語に関わらずどの分野でもね、人が「ああ人間ちゅうもんは結構なもんやねんね」と涙するということは、結局「自分をあとにして他人を先にする」ということやと思うんですね。人間としたらそうありたいんやけど現実生きていく上ではなかなかそうもいかない。どうしても自分を先にしてしまう。そこで、せめて落語なら落語の中で、「人を先にする心」にふれてほんまはそうありたいもんやなぁと思いつつ涙するわけですわ。
自己犠牲とかそんな大層なこっちゃないんです。自分の身をほろぼしてでもちゅうと「人を先にする心」すなわち「情」が濃いすぎて、おしつけがましさが出てきてしまうんですね。どない言うたらよろしいかぁ、つまり自分の身に余裕のある分だけ他人を先にするというか、自分にはマイナスの影響のあまりない範囲で他人を思いやるとでもね…
