過去に支配されない生き方
青年 先生は感情を否定されている。感情は道具に過ぎない、目的を達成するための道具に過ぎないのだと。感情があるからこそ、喜怒哀楽に揺さぶられるからこそ人間なのです。感情のない人間は出来損ないの機械にすぎない。
哲人 私は感情を否定しているわけではありません。誰にでも感情はあります。しかし人は感情に支配されないし、過去にも支配されません。
青年 感情に支配されず、過去にも支配されない?
哲人 はい。たとえば、ある人の過去に、両親の離婚があったとします。これは18度の水と同じ、客観の話ですね?これを冷たいと感じるか温かいと感じるかは、これは今の主観の話です。過去にどんなことがあったとしても、そこにどんな意味づけをするかによって、現在の在り方は決まってくるのです。
青年 問題は何があったかではなく、どう解釈したかだと?
哲人 まさに。我々はタイムマシンで過去に遡ることも、時計の針を戻すこともできません。過去に縛られると、この先、ずっと幸せにはなれません。
青年 そうですよ!過去を変えられないからこそ、この生は苦しい。過去の力は強いですよ!
哲人 可能性を考えるのです。あくまでも、人は変われるを前提に考えるのです。
たとえ、過去にどんなことがあったとしても、それを前向きにとらえるかどうかは今の自分であると。過去をどうとらえるかは自由である。