あなたの人生は「いま、ここ」で決まる
青年 つまり、人は過去の原因(トラウマ)によって突き動かされる存在ではなく、何かしらの目的を達成するために動いていると。さらに、目的論の大前提として、「人は変われる。」私が変われないのでいるのは、他ならむ私自身が「変わらない」という決心を繰り返している。新しいライフスタイルを選ぶ勇気が足りてないと。
哲人 はい、その通りです。
青年 では、「どうしたらライフスタイルを変えることができるのか」という話になります。
哲人 そうですね。今あなたが、最初にやるべきことは「今のライフスタイルをやめる」という決心です。わたしの友人に小説家になりたいと夢見ながら、なかなか書き上げられないでいるものがいます。彼によると、仕事が忙しくてなかなか時間もつくれないでいるから、賞の応募に至らないでいるそうです。しかし、はたしてそうでしょうか?彼は応募しないことで「やればできる」という可能性を残しておきたいのです。人の評価にさらされたくないし、ましてや駄作を書いて落選するという、現実に直面したくない。時間さえあればできる、環境さえ整えばという可能性の中に生きていたいのです。おそらく、10年もすれば彼は、「もう若くないから」とか「家庭ができたから」と別の言い訳を使い始めるでしょう。
青年 彼の気持ちは、痛いほどわかります
哲人 賞に応募して落選するならすればいいのです。そうすれば、もっと成長できるかもしれない、別の道を選択できるかもしれません。いずれにせよ前へ進めます。
青年 夢は砕け散るかもしれませんがね。
哲人 でもどうでしょう。やるべき課題を前にしながら、やれない理由を考える生き方は苦しい生き方だと思いませんが?小説家を夢見る彼の場合、まさしく「わたし」が人生を複雑にし、幸福に生きることを困難にしているのです。
青年 先生の言っていることは厳しい。「トラウマなど存在しない、環境など関係ない。何もかも身から出た錆などであって、不幸の原因はお前のせいだ」とこれまでの自分を断罪されている気分になるのです。
哲人 断罪などしていません。アドラーの目的論は「これまでの人生に何があったとしても、これからの人生に何の影響もない」自分の人生を決めるのは「いま ここに」いるあなたなのです。
扉が開かれました!
さあ、出発の時です。前へ進みましょう!